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ところがスウェーデンの子供の遊び場は一つ一つ設計が違っておりました。行政が公園のためにお金を出します。それを設計するのは町の地域の人々で、その人々が子供たちのために汗を流して自分たちで遊具をつくりますので、それぞれ違うのは当たり前、しかも全部木製でした。
第2に、町を歩いている若い夫婦が子供を連れておりますが、その子供の中に、アジアの難民の子、あるいは黒人の子供が珍しくありません。スウェーデン人というのは、真っ白な皮膚の大きな体をした人種ですから、その真っ白な夫婦が黒人の子供を連れて歩くと目立ちます。ところが、町で行き交う人がたれ一人その黒人の子供に対して後ろを振り向かない。皆さん方が町で黒人を連れて歩けば。すれちがう人が好奇心で後ろを振り返るでしょう。しかし、、スウェーデンではだれ一人振り向かない。当たり前のことだからでしょうか。
第3に、電車に乗るには切符を買って入りますが、改札がないのです。切符を持ったまま電車に乗りますが、電車を降りた駅で切符を渡す駅員がおりません。無改札なのです。それなのに、みんなきちんと切符を買って乗るのです。
教育にオナーシステム(honor system)という制度があります。学校で試験をするときに、先生が試験に立ち会わないのです。日本では、これだけの方が大学の入学試験を受けるということになりますと、大勢の試験官が配置されます。学生が教室で試験を受けるのに、先生が立ち会わないで、生徒だけで書き上げる。これをオナーシステムと申します。名誉を重んずる制度という意味でしょうか。教師と生徒、学生と学生の間の信頼関係によって成り立つものです。
ヨーロッパにおいでになった方はご存知でしょうが、たとえばベルリンの地下鉄に改札がありません。ジェネバのバスに改札がないのです。いわばオナーシステムの社会的応用と言っていいと

 

 

 

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